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everywhere I'll go

名作は再放送にあり

 人間にとって最大の不幸は
 昔、幸福だったことである

水曜日の情事」で、不倫のあげく、妻と離婚し、愛人の元に身を寄せた男(本木雅弘)が、1年後、昔、妻と見た夏の空を思い出してつぶやくモノローグ。

このドラマを見てると、結婚も不倫も、馬鹿馬鹿しい茶番だと思うのに、
愛や恋に、汗水流している人間は滑稽だと思うのに、
その人間たちがギリギリの精神の挙句吐き出す言葉は、可笑しくも泣けてしまう。

脚本は野沢尚
この人の脚本だから、というだけで、私はよくドラマを選んでみていた。
けれどこの作品の3年後、彼は自殺してしまった。
彼の最後の作品は未完となってしまった「坂の上の雲」。他のスタッフで完成させ、今年、NHKで3年に渡って放送される。主人公は、本木雅弘

ともかく、こんな感じで、少し前の恋愛ドラマには、ちくちくと心に刺さるセリフや、身につまされる表情がそこかしこにちりばめられていたのに。
一体いつから、少女漫画の延長にもならないお話を30になろうとする大人たちが寄ってたかってちまちまとやってたり、そうかと思えば、小中学生みたいなアイドルが眉間に皺を寄せ、薄っぺらな眼差しで人生を語ったり。そんな恋愛ドラマばかりになってしまったのだろう。

恋愛ドラマ、復活しないかしら。
ちっさいちっさい男と女が必死こいてあがいてるような、恋愛ドラマ。
まぁ、もう、あたしが、その手の対象外なわけだから、仕方ない。
きっと、大半が、今の恋愛ドラマがストライクなわけだろうから。

そういう、はじかれてしまった人にとって、思いも寄らぬドラマの再放送は、ありがたし。

ところで、不倫ってどうなんだろう。
したことはないが、つか、まぁ、すてきだなぁっつて、一回メシを食って、その男が、部屋に上がりたいといった瞬間、ドン引きして、さようならしたことはあったが。
ともかく、使い古された、どっかしなびたものに一変して見えて、それからっつーもの、既婚者って、古着、中古、そういう風にしか見えない。
だもんで、まず、愛人という役割の人は、物好きだなぁと思う。
そんで、不倫してしまう役割の人は、二兎も追ってめんどくさくねぇのかなぁと思う。
そんなやつらに、不倫されてしまう役割の人は、己の力不足の自業自得だなと思う。

愛も恋も知らないおれには言われたくはねぇと。

不倫っちゅうと、ごめんやけど、桜井さんしか浮かびません。
ニットキャップを目深にかぶり、やけくそ気味な表情で、愛人のマンションから出てくるあのお写真しか浮かびません。

好い歌を唄ってくれたらそれでいいから。

キムタクもピン子も大嫌いだが、2時間も見てると、慣れてくる。
気取った若手俳優のノリの悪さに比べたら、何事にも向きになって全力投球しまうキムタクに好感さえ持てた。
キムタクと1日過ごした時間を、日割りにして、しばらく生きていけますといったピン子に健気ささえ感じた。

どんなことにもすぐすぐ慣れてしまう。
面白いことにも、面白くないことにも。
不幸にも。
昔のいつが幸せだったのかもわからなくなるほど。