fake_BOOTLEG

everywhere I'll go

無念怨念

いいのよ、歌さえよければ。

そういうオチでこれまできた。
「でも、いいー歌なんだよね、ミスチルって」と。
「だからブラックバンドでも、買っちゃうのよね、CD」と。

そうやって、もう、15年近く、桜井の作った歌だけを聴いてきた。

今回こんなに腹が煮えたぎって止まないのは、全くそのオチにはまっていかないからである。

そんなことない、ですか?
それ、本音でいってる?ホソキカズコ並みにズバリ言ってる?

じゃあ、最新の「(an imitation) blood orange」ってアルバムまず聴いてみて。
そうそう、これまでになく中身が薄いから、これまでにない凝ったタイトルのやつ。
聴いた?
そしたら、間髪いれず、「IT'S A WONDERFUL WORLD」聴いてみ。
「イミテーションの木」と「ファスナー」、並べて聴いてみ。
好い歌だって、それでも言える?

そんな昔のに遡ったら酷か、ですよね。
なら「HOME」聴いて。
名曲ありすぎで、今回の何の曲と比較するのか探すのも苦労するけど、
PIANO MAN」と「インマイタウン」くらいにしとくか。
聴いた?

え、それも酷。じゃ、もう、「SUPERMARKET FANTASY」。
「花の匂い」と「かぞえうた」。

あーわかったよ。「SENSE」ね。もう、おまけのおまけのギリギ・・・スレスレセーフアルバム。
これの「I」と・・・えとじゃあ「蒼」・・「ハル」・・・「Forever」と・・・まあそこらへんと「常套句」だろうが「hypnosis」だろうが、そこらへんと、聴いてよ。
もうよくわからないけどさ。
とにかく、そうしても、言えますか、本音で言えますか。

今のMr.Childrenの歌が、最高であると。

私はずっと言えた。
そりゃ「innocent world」やら「Tomorrow never knows 」は、ライブでいらん手拍子が発生するくらい国民的名曲だ。
それでも、いつも、最新アルバムのあの歌が、最新シングルのこの歌が、
どんなときのMr.Childrenの歌より、一番好いと、きっぱり言えた。

正直、「SENSE」あたりから、むむむむと思い始めた。
それでも前述の「ハル」やら「Forever」やらがその不安を払拭してくれた。

しかし、とうとう、限界地からおっこちてしまった、最新アルバム。

いまひとつだと思っていたタイアップついた数々の歌が、ましかもしれないと錯覚、錯聴するほどの、その他アルバムオリジナル曲。カップリング候補の更にボツ曲並みの数々。

メロディは非常に複雑怪奇になっている。
桜井の加齢により避けられない高音の出難さを、メロディで補うかのように。
こんな難しい歌、桜井しか唄えないね、さすがねって。

けれどそこまで。
彼のボーカル力に感嘆していると、うっかり、ところで歌詞ってどんなだっただろうと。
歌詞カードを読み返す。
あぁ、あぁ、そうかそうか、この程度の歌詞なら歌詞カードいらなかったねと。

先日どこぞのテレビで、HYとかいうバンドの歌詞付き映像を見て、うっかり無意識にぼそっと「きもちわるい歌、最近のミスチルみたい」と言ってしまった。
誰も聞いてなかったよね今の独り言、と、一人安堵した。
その後、コブクロの超絶へんな歌「かみひこうき」に悪寒がしたが、どうしよう、このレベルまで桜井の歌詞能力がきてしまったらと思うと他人事ではなかった。

言いたくはない。
前のアルバムと比べてあーだこーだなんて言いたくはない。
それぞれのアルバムが、様々な方向を向いていて、そのアルバムの中の歌も、少しずつ違う方向を指差している。だから、無二の歌となるのが、Mr.Childrenの歌だ。

けれど、今回のアルバムは何かが足りない。
何かがというか、収録曲全てが少しずつ欠落していて、アルバム全体を聴き終えた頃は、何を聴いていたのか、何か聴いていただろうか、何も聴いてなかったかもしれないと、寂しくなる。

そうだ、とても、今、寂しいです。

特に深読みしなくとも、ただ、その歌を聴いているだけで、ググっとくるような言葉があった。
その歌を聴いたあとも、次の歌を聴くのがもったいないと思うほどの余韻があった。
アルバム全ての歌を聴き終えたあと、大事に大事に歌詞カードをたたんで、CDと一緒にケースにしまった。

それがMr.Childrenの歌だった。
そうではないから、ただ寂しいだけです。

デジタル化が進んで・・・とか、握手権をつけるなんて邪道・・・とか言って、音楽業界が破綻しただとか、本当に好い歌がへんなアイドルやミュージシャンもどきにつぶされてるとか騒いでるけど、それはただの言い訳じゃないだろうか。

Mr.Childrenがこんな調子なら、アナログのままだろうが、キャバアイドルが居ようが居まいが、CDなんか売れないよ。

昔々。
CROSS ROAD」を聴いた折は衝撃だったが、そこは貧乏人的本能もあいまって「次のシングルも好かったらアルバム買おう」と。
して、
して、次のシングルは「innocent world」だった。
今に至る。 

今となっては、次のシングルもこういう調子なら、しばらくMr.ChildrenのCD買わないでいようと思っています。

とりあえずもう思い残すことなどありません。
寂しいです。