あぁそうだよ。知ってたよ。俺は全部知ってたさ。
みんな、みんな俺を騙すことしか考えてないじゃないか。
あぁ、わかってたよ。いくらでも保険に入ったさ。
騙される振りをしなかったからみずほが俺のこと嘘でも愛してるなんて言ってくれたと思うか?
俺が生命保険に入らなかったらあんなに優しくしてくれたのか?
何が死ぬなよだ、どうせ裏があるんだろ。
みんな自分が得することしか考えてないじゃないか。
みんな自分のことしか考えてないんだよ。
俺を騙して利用したいだけなんだよ。
俺はそんな世界でずっと、ずっと、生きてきたんだ。ちくしょう。
騙されなきゃ誰も俺なんかに近寄って来てくれないんだよ。
誰も優しくなんかしてくれないんだ。
俺はずっとひとりなんだ。
こんな世界、大っ嫌いだ。
俺は、俺も大っ嫌いだ。
ずっと自分を騙しながら生きてきたんだ。
こんな奴、消えたほうがいいんだよ、そうだろう?
喜多善男なんかいなくなったほうがいいんだよ。
そうだろう?なぁ、そうだよな?
「どこで死ぬつもりなんだよ、教えてくれよ」
「みずほと行こうと思っていた場所があるんです、そこに行って」
「まだみずほかよ」
「みずほと一緒に過ごした時間の中でほんの一瞬だったけれど心が繋がった瞬間があった。
と、僕にはそう思えた。そう思わせてくれた。
ほんの一瞬だったけれど、それまでの人生で僕は初めてそんな幸せな気持ちになれた」
「喜多さん、俺も、喜多さんとさ・・・」
視聴率悪いんだそうだ。
オリコンと同じ、何が視聴率だ。
けれどもそれがものさしになってスポンサーがどれだけお金を出してくれるかが決まる。
だから、されど視聴率ってことになる。
ならばジャニーズか、スキャンダラスな女か、女みたいな顔した男か、モデル上がりの女さえ出しとけば視聴率がとれる、質なんかどうでもいいとなり、本当に良い作品、私が好きな作品どんどん少なくなって、いつかゼロになるんだろうか。
どんどん個性のない少数派が生き辛く楽しみ辛くなる世間になってくるんだきっと。
まぁいいや。
とりあえず、今生きている間にこの作品が見れてよかった。
喜び多き善人な男のあしたは、あと1日で終わる。