fake_BOOTLEG

everywhere I'll go

どこにも行けない

あけまして
「あけまして」
つか明けてます?
「いやぁワタシはまだ明けてないんですけどお」

「お革ジャン!」
ごめーんかっこよすぎて、男前すぎてー、マネしてもいいよ
「あははは」

どっちが男でどっちが女なんだ。文字にするととほほな会話だなぁ。
男に笑われちゃいけないらしいぜ、女は。
男の話に女が笑ったら、その女はその男に気があるらしいが
女の話に男が笑ったら、その男はその女にまるで気がないらしい。
て、どっかの偉い学者さんが言ってた。
ならだめだ私、永遠に。だって、嬉しいもん。
誰も笑ってないのに、きりんタンだけが私の言ったことに爆笑してたりすると、
この上なく、こっそり、嬉しいもん。

今日はやけに積極的に話しかけてくれるなぁ。仕事初めだから?
ねぇねぇ今日彼女見かけないすけどもぉ、どしたんやろなぁ。
したっけ彼女は今年からさいたま支店に異動していた。
妹は神様っているんだねぇと言ってたけど、
いえいえ姉は嫌な予感しかしないのよ。

きりんタンをぐるんぐるんぎっしぎっしに縛っていたあの彼女。
20コ近くも年下のきりんタンを逃がしはしないと必死な彼女。
このままおとなしくしてるはずない。ケツコンという暴挙にでるんじゃないか。
どうしても、と泣きつかれたら、あのきりんタンだもの。
なるべくすべてをうまくやってこうとする、きりんタンだもの。
あっさり受け入れるに違いないわ。

と、ひまひま業務の合間中、マイナス思考妄想をいいだけ展開して、
最終的に思うことは、彼女という権利は羨ましい。
彼女の言葉や行動は、彼の日常に多かれ少なかれ影響を与える。
私の言葉や行動は、彼の中には留まらず、ただ過ぎてゆく。
どこにもたどり着けない。
むなしい。

でもこんなの慣れてる。平気のへー。
ゴールとか目的地とか着地点とか、そんなのなくても。
きりんタンの存在は、唯一無二の糧になっている。それだけです。