ら、らら、ライブ、ぶゅーいんぐ?
あぁ?
いつぞや、どこぞのザイルさんがやってたのをなんだったか、たしかワールビジネスサテライトで特集やってて、あほか、あーほーかー、と、あほらしさを通り越して気持ちが悪くなっていたもんだった。
「あいたかったよぉぉおぉぉお~~」
あのCM、こっぱずかしいので、なんか、もう。
ああいうのはライブに行ってる人たちだけが聴いてよし!なわけで、お茶の間でやきそばに海苔をふりかけてる時とか、白髪の誤魔化しの限界値を鏡で確認しているときに、突然やられると、ずっこけるというか、ちょいちょいちょいおっさんまてまてと、冷静になれと、言いたくもあるような、いや、どっちかってぇと、わたしは限りなくあちら側なわけで。
それを知ってか母はこのCMを初めて見た時に言った。わざわざわたしを見て言った。
「あいたかったって言ってるわよ」
2回目以降から彼女は、クロスワードやりながら、レース編みしながら、小さな声でつぶやくようになった。
「あいたかったよーだってさ・・・」
そんなこんなで早くこのCM終わってくれないかなと。
あぁ、6月4日が過ぎれば、あのCMは終わるのよねと。
そういう意味で待ちに待っていた、6月4日。
まさか、思い余って、ださいたまの奥地の映画館のライブビューイングのチケット取っちゃったから、とか言えないのである、決して。
そしてそれを観終えて、涙するほど感激したなどと、たまさか。
好かった。非常に好かった。
MCで桜井が件のCMを自らデスってくれたから、だけではない。
長野で観たのを完全にMCネタもなぞっていたのだけど、とてつもなく感動してしまった。
はじまり。
会場が映し出されている。ただそっけなく、監視カメラのように。
なのにもうそれだけでザワザワしてしまう。
あっちの照明が消えるとこっちの照明も消える。ザワザワ度が増す。
鮮明な画像で、大音量のスピーカーで、桜井が唄っている。
ザワザワを通り越し鳥肌である。
桜井が言う。これは全国でライブビューイングされていると。
そうしてMelodyを唄いだす。
そうか、そうだ、これは、衛星放送で生中継で、こことあそこは繋がっていて、同じ時間で、同じ音が流れて、でもそれは生ライブというにはあまりに遠い、のだけれど、やっぱりこれは今、今唄ってる、桜井和寿が唄っている声なのであって。
そう思ったら泣けてきてしまった。
何かとてもまどろっこしく、ややこしく、遠まわりをして、いろんなところを経由して、ここに観えている、ここに聴こえてきていると、それだけで、なんだか、切なく感動してしまった。
薄い薄い味の幸せを、大事にかみ締めているような。
そんな健気な気持ちになっている、このわたしがそうなれていることに、感謝すらした。
この歌を唄っている人に、桜井和寿に感謝をしました。
「スカパーでよくね?」
これまた、だから、わざわざ電車に乗って映画館で観るという行為が限りなくライブに行くのとニアリーイコールな気分を味わえるというのもひとつ。
それとね、これはわたしが行ったとこが好かったのか知らないが、あのこじんまりさ加減が丁度いい塩梅。
ぼっちが多い、まず。だからひっそりしている。
それから、正直ライブビューイングってどうしたらいいのだろう、どう立ち振る舞えばいいのだろうという、オロオロ感が満ちている。
そんな人たちが、エソラ辺りになれば、辛抱たまらず手をふり叩き、上半身ゆらゆらのりのりしだす。
わたしなぞ、もう、最初っから泣いちゃってるような輩ですから、叩きまくり揺らしまくりで。
愛らしいのですよ、ミスチルのライブでファンを愛らしいなんて露も思ったことないのに。
好い。ライブビューイング、レギュラー化して欲しい。
ドームとかでちいさな豆粒観るより、格段に好かったです。
何より、今回のアルバムが好かった。それについてはまた今度。
だってそろそろ眠い。明日仕事。fantasyに変換するにはなかなか厳しい職場。
でもだからそこへ行く前に、どうしても、今、このライブビューイングで感じた、あの後味の好さを新鮮なうちに書き留めたかった。
ライブの後にこんな気持ちにまだなれた、こんなわたしが。
眠さと泣き疲れが混ざった顔に少し冷たくて強い向かい風をうけながら早歩きで帰った、あの時の、あの感じ。
最近では貴重な、もしかしたらこの先二度とないかもしれない、もう一度あんな気持ちになれるか自信もない。
だから眠くても書き留めておいた。
やっぱり桜井さんに感謝しておこう。
さん、つけておこう。