いまさらここへきて、パトリック・ジェーンが好きだ。
弱き者に優しい。とても優しい。ひっそりとこっそりと優しい。
強き悪人には、厳しく強く・・・は全然、ない。
彼は警察の人間ではなく、あくまで、捜査協力をしている限りなく公的な民間人。
であるからして、丸腰。
犯罪ドラマの主人公だのに銃が出てくるとへっぴり腰。ただただニヤニヤして手を挙げ、後ずさる。
それを埋め合わせるのは、彼の人を食う力。
空気を全く読まず暴言を吐きまくる。読みきってから読めてないフリをする。
丁寧なのに上から目線、そうそう、流行りの「慇懃無礼」。
敵対する悪人からは、それはそれはうざいやらイラつくやら。
で、そう相手が思ったら最期。メンタリストの手に落ちたも同然なのであった。
彼はイケメンで愛嬌があって物腰柔らかく普通にしてりゃあモテモテだろうが、孤独だ。
わざと孤独だ。
いまいち「確信犯」という言葉の正しい使い方がわかってないので使いませんが、それ的な孤独人だ。
それは傲慢だった過去の自分への罰。妻と娘への贖罪。
ブロンドのハンサムがこういう感じなので、女がハマらないわけがないわけで。
そしてこのドラマでもうひとり欠かせないのはジェーンの上司、テレサ・リズボン。
彼女の「はあぁぁ?」の顔芸は、たまらない。
「顔!おねぇさん、その顔!やめなさいってば」と言いたくなる。
それとね、吹き替えじゃないと。
字幕でサイモン・ベーカーのモゾモゾした低音のしゃべりだったら、果たしてここまでハマっただろうか。
やりすぎといわれようが、このドラマのこのキャラには吹き替えがぴったりだ。
声だけではない。
このパトリック・ジェーンは非常に面白いキャラクターなんであるが、演じてるサイモン・ベイカー自体は致命的におもしろくない。
オージーで、売れないころからつきあってるビジュアル中の中妻と2人の子供を持つただの愛妻家かつ良きパパ。
はい以上。これだけです。
ないの。
セックス依存症で治療してた、とか、ジュリアロバーツに結婚バックレられた、とか、ないの。
つっまんな過ぎる。
あるかな、これから、ウィキペディアに加筆されるのかな。
かなぁ。
ねぇよなぁ。
仕方ない。
彼が、パトリック・ジェーンが、弱き者に向ける優しいあの目は、元々愛情が溢れるほど備わった人間から滲み出てくるものだ。
そしてそれを欠いた人間がこのように吸い寄せられ、操られ、番組を見ているのだろうから。
Dr.倫太郎とか、心がぽきっと、とか、ああいう弱さ優しさの押し売りドラマなんかより、癒されまっせ。