fake_BOOTLEG

everywhere I'll go

睡眠時間だけは売るほどある

深夜に「カラフル」という映画の宣伝番組がやってるのを見たせいだ。

中学時代にタイムスリップする夢だった。
窓から入ってくる清清しい風。
眩しく光る白い廊下、壁、棚引くカーテン。
懐かしい面々が両側を流れる中を疾走しながら私は、
タイムスリップしたのだと思った。
そうか、私は、ここからもう一度人生をやり直せるんだ。
嬉しい、今度こそうまくやろう。
誰とはなしに、感謝と誓いを立てて、廊下を走り抜けていた。

ふと、覚めると、目の前に井上順がスーツを着てにこやかに座っていた。
瞬間、タイムスリップは終わったんだということと、彼がタイムスリップの案内役なんだなと感じた。
彼は穏やかに無責任に「もういいんじゃない?そんなに無理しなくて」と言った。
私はその場に泣き崩れる。

ふと、覚めると、テレビで出てくるような片付けられない女の部屋の真ん中に、
グッドウィルで買わされたTシャツを着て、大の字に寝転んでいる自分がいた。
そこには、透明な空気も、優しい井上順もなく、目の淵に薄汚れた水気が残っていた。

ふと、覚めると

そういうわけにはいかないか。

祈る。
この夢が覚めるか、ハワイ行きの飛行機が墜落するかを。