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everywhere I'll go

「重力ピエロ」を読んだ

ツタヤで文庫本が売ってたので買ったので読んだ。
おもしろくない。

ミステリ、というか、謎、というか、ネタ?
あんなもん、誰が「放火魔」で誰が「父親」なのか、半分も読まずともわかってしまう。

まさか、この部分は前フリ的ミステリで、ボス的ミステリが隠されているんだよな、と期待。
しかし、ここぞとばかりにその陳腐なネタをばらしただけで終わる。
待てど暮らせど、それ以上、何も出てくることなく、終わる。

ミステリの件はじゃあ、さておこう、この際。おれも男だ。
よし、家族の絆的感動だな。
それも、悲しみを含んだ衝撃の感動だな。活字が涙で霞むんだな、と。
待った。
が、それもない。

弟は母親が強姦されたときの子供。
兄も父も母も健気に家族として暮らしていたとさ。
で?
初っ端のこの設定だけで、もう、十分すぎるほど家族の絆はわかったよ。
それだけじゃないよね、まさか、それだけじゃないよね。
でも結局それだけだった。

「放火魔」と「父親」がわかってしまえば、ラストに展開する「罪」もすぐに想定がつくから、特に意外性はない。

なんだよこれ。児童書か。
文章のいたるところにちりばめられた「名文」はどっかの誰かの引用文ばっかだしさ。

「未成年の犯罪」「裁きの行方」「取り残された被害者家族」
使い古された題材だが、書き続けられなければならないのはわかる。
弱者を題材にした話は嫌いじゃない。
でも、書くからには、読み進めるほどに惹きつけられるような物語と、読後にこびりついて離れないような余韻を残した文章でなければ、小説にする意味がない。

で、全く意味がない小説だった。

ましなところをしいてあげるなら、登場人物が個性的でユニークだったってことくらいか。
誰が読んでも映像にし易いし、作者は映画化を目論んで書かれたような気さえする。
例えば育ての父親は小日向さんっぽいよなって読んでいたら、映画の出演者欄に彼の名前をみつけ脱力。まじっすか。確信犯っすか。

たまあに、ちっさいユーモアもあったりなかったりするのだが、もうもう、後半になると、その小細工が一番イラっとする。
あんた、ユーモアぶっこく暇があるなら、もっと物語の本筋をちゃんと書けよと。

総評。
この小説の褒めるべき点は唯一つ。「タイトル」。以上。

はぁー。
これってなんか賞とったりしたのかい?
どんなコネクションでこの伊坂ってやつは売れっ子小説家になったんだ?
ベックス系か?ソウカ系か?そのどちらかとしか考えられないし、そうだと信じたい。

また無駄な時間を過ごしてしまった。
まぁ無駄な時間しかないですからどうせあたしには。
それを潰すにはちょうどよい小説でありましたとさ。