fake_BOOTLEG

everywhere I'll go

バンドMのボーカルSは究極のMである

 ダレモガ ミナ ナミダスルホドノ
 トワノ ウタヲ ウタイタイ

何もねぇので、いまさらながら、ミスチルの今回のツアーで、わかったことをひとつ。

桜井和寿は途轍もないマゾヒストであると知った。

「ロックンロール」を唄う前のMC。この歌に出てくるロックンローラーは「昨今の環境問題、社会問題に取り組んでるような」それではないと、揶揄するような口ぶりでふざけていた。

お前が言うか、その口でと。

そして思った。
この人はわかってやっている。
メジャーな音楽をやるということはその先に環境破壊が必ずついてくる。
人を一斉に大量に移動させる。それだけで十分、破壊活動だ。
そんな大規模な音楽活動をしながら同時にエコ活動をやってやろうと豪語している。
いろんな批判、非難が轟々となることも、全部わかってやってる。
わかってるというより、わざとやっている。

今や、ミスチルといえば国民的ポップスター。
私はこれまで数え切れない転職を繰り返し、多くのどうでもいい人たちに会って、どうでもいい質問に答えてきた。
「好きな音楽は?」→「ミスチル」、「好きな芸能人は?」→「だから桜井和寿」。
その回答に対して「ミスチルぅ?桜井ぃ?きもちわるっ!」と言ったのはたった一人だった。他は「あーいいよねーミスチル」「桜井さん、かっこいーよねー」という声ばかり。

自分の中から溢れる出す音を、言葉を、一人でも多くの人に聴かせたい。感動させたい。売れたい。
音楽をやり初めた頃の思いはそうだったに違いない。
そして思い描いていた通り以上になった。
今やMr.Childrenが、桜井和寿が、どんな歌を唄おうと、どんなメッセージを投げかけようと、みんな笑顔で受け入れてくれる。

おもしろいだろうか、そんなの。

そこで彼は少しでも自分を悪く言う人を増やしたいと考えたのではないか。
自分の音楽を受け入れない人を増やすということは、自分の音楽を聴かせるべき人を増やすということだ。
そのためには認められ尽くした音楽だけではどうしても限界があった。
そして、うまい具合に落ちていた「エコ」を見つけたのだ。

ダイエットをするためにドカ食いをする。
あくせく働きたいためにムダ使いをする。
ハイになるためにウツになる。

たまにそういう風に見える人がいる。
というか、たまに、自分がそうなんじゃないかと思えることがある。

こんなのと同列にするのはどうかと思うけど、ともかく、このまったく馬鹿馬鹿しいループ作業を延々と繰り返すことで、彼はすばらしい音楽を延々と作り出すことができているんじゃないだろうか。

加えて、エコの結末なんて、100年後にしかわからない。
桜井和寿は「向こう100年音楽を作れる」というこの上ないよりどころを見つけたのだ。

あんしんあんしん。