まだ微かにふくろはぎの筋肉痛が消えない。
そのたび、土日の、あの夢のような時間を思い出す。
ミスチルのライブはやたらカップルがだらけ。きもちわるい。
ミスチルのライブはやたら手拍子だらけ。きもちわるい。
ミスチルのライブはやたらお手てフリフリだらけ。きもちわるい。
って、もうもう、そんなの、どぉーーーーっでもよくなった。
楽しかった。
ミスチルのLIVEで汗をかいたなんて、信じられない。
これまで一度もない。なんてさびしいファンだろう。
でも仕方ない、これまではそうだった。
もちろん、すごく感動したりするけど、どこか高みの見物。
でも今回の長野は違った。
やっぱりミスチルはこのぐらいの大きさがマックスだと思う。
歌事態が、本当は、ライブハウスでやったほうがいいくらいの歌なのだもの。
どでかいところでやったら、歌が、もったいない。
楽しくなるのはSUPER MARKET FANTASYを聴いていれば、だいたい想像がついた。
でもそれを遥かに上回って、楽しすぎた。
いつもとはまるで違うことがあった。
ファンへの出血大サービス。
20周年という理由で、懐かしい画像をつかって、盛り上がる。
ミスチルが「あの頃」とかって振り返ったりなんてあっただろうか。
そりゃ、曲の流れをなんとなくそうしたりしていたこともあったけれど、ここまであからさまは知らない。
それから、長野15年ぶり、7年に一度のご開帳(まぁこれはミスチル全く関係ないけど、桜井さんもご開帳2回分!ってうまいこと言ったみたくなってたし)、何はなくとも、17周年って、知らなかったなーの記念日が重なり重なりで、なんか勝手に盛り上がってしまった。きっとみんなは知ってたんだろうけども。
それと、やっぱり、地方はおもしろい。
タクシーの運転手さんが「昨日、乗せたお客さんが、さいたまよりおもしろかったって言ってましたよ」と。
札幌のに1回、行ったことあるけど、そんときも思ったもんだった。
関東のと、まずもって、MCのトーンが違う。リラックスっつーか、気が抜けぬけだ。
ファンとのやりとりを楽しんでいるみたいだった。
それでも歌はビシっとやったりするのを見ると、全国で同じように気合入れてやってんなんて大変なお仕事だなぁ、と、お体、どうかお大事に、と。
桜井さん、ともかく、がぶがぶ水飲みまくってたしなぁ。加齢は否応ないのかしらね。
そんでうるさいけどともかく楽しくてね、JENの存在さえ、あれはあれで盛り上げ役ってことで、必要なんだと思えた。しかし、依然、田原だけはいらない。「車の中でかくれてキスをしよう」んとき、まったく、なんじゃそれっていうリズムの取り方をしてて、ユサユサ無駄に揺れやがって。「ロックンロール」のソロ、桜井くんがやるのかよ!いいけどさ、かっこいいから!でも、おめー働けって。もう、ナオトインディライミくんと交代!コーラスもギターも口笛もなんなら鍵盤も叩けるんだぞ彼は。
あ、悪口は控えよう。だって、すっごい、楽しいだけだったのだから。
それに、絶対、やっている方も楽しかったに違いないのだと、思えるくらいだったから。
時期が時期だけに、やっぱり、清志郎のことがチラリ過ぎった。
桜井さんが、もう、楽しくて楽しくてしょうがないとしているとき、切なさに顔を歪めるとき、大好きな音楽をこんなに思いっきりやれるなんて、本当に幸せなことだなと(もちろん聴いているほうだって幸せだけれど、やっているほうはその何百倍も幸せなんだと思う)、改めて感じれば感じるほど、清志郎の無念が染みて、辛かった。
ライブの話をしよう。楽しくて仕方なかったライブの話。
っつっても、ホテルのメモ書きが全てなんだけれど。
逸楽、寂寥、沈黙、絶頂、哀惜、さまざまな色が重なりあって、本当に鮮やかで眩しくて、だからもう、楽しいライブだったの。
そうなるとやっぱり、短かったーってなる。
実際の時間も短かったんだろうけれど、それ以上に。
けれど、物足りない、という後味ではない。
楽しかった。
あの日、長野ビッグハットにいた知らない人たち、みんな、楽しかったよね。
「I LOVE YOU!」「ありがとう」「さよなら」
その瞬間の、声と表情が頭から離れない。
単純なフレーズだけど、思えば、この人は、ずっとずっと前から、この言葉を懸命に唄い続けているような気がする。私は、その度、教わってきたんだと思う、この短く耳慣れてしまった言葉の、本当の意味を。
けれどもまだ、ダメな私は、わからないみたいだから、もっと、聴かせてほしい。
「今度はいつ来てくれるのかぁ」と誰かの声がした。
「あー、明日から・・・・なんか・・・がんばれない気がする」という声もした。
タクシー待ちをしているとき、後ろに親子3人が並んで、男の子は3、4歳なのかな、ずっと、同じことを母親に訴えていた。
「キラキラ、キラキラ、あったでしょ?」
「ん?あーそうねぇ、いっぱいデンキがあったねぇ」
「ちがうよー、キラキラ、あったの、シーソーのひと」
「ん?あー、シーソーの歌、うたわなかったねー、今日は」
「シーソーのひと・・・」
「ん?あー、サクライサン、ね」
「サ・・・シーソーのひと、キラキラ、あったでしょ?」
母親は夫婦の会話に夢中で、もう訊いてないみたいだった。
「キラキラがね、あったよ、キラキラ、シーソーの人・・・」
ってそのコはずっとブツブツつぶやいていた。
やっぱり、楽しかったよね、老も若も男も女も、楽しかったよね。
いつものように桜井さんは「気をつけて帰ってください」と手を振っていた。
すっかり、現実の毎日に引き戻されてしまって、
きっとふくろはぎの筋肉痛も、明日には跡形もないんだろうけど。
ずっと、Mr.Childrenの歌が、桜井さんの唄が、流れ続けている。
今までもそうだったけど、それを、もっと強く、色濃くなぞるように、流れている。