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everywhere I'll go

「スラムドッグ$ミリオネア」を観た

とにもかくにも、ハードルを上げて観てしまったおれが悪いんだ。
「観た後、立ち上がれなくなるほど震えが止まらなかった」だとか、「人生で5本の映画に入る」だとか、そういう、会ったこともない人の言葉に振り回された、おれが悪いんだ。

うまくできた映画だとは思います。
主人公の少年の人生とクイズがリンクしていく。クイズに勝ち上がるたびに、登場人物と観客が、過去から現在へ誘われる。
そらぁ見事でしたけど、でも、そこらへん想定内じゃないかい?

きっとあのおにーちゃんも、テレビでクイズを見て、これまでの、兄弟で歩んだ人生を振り返ったんだろうね。だから最後はあーいう態度にでたんだろうよ。
彼の結末は切ないよね。
でも、そんくらいだよね。

妹の知り合いにインド人がいるんすけどね、なんでも、インドの言葉に「恋人」ってないんですってよ。つきあうとか、そんな期間はないの。即、結婚なんですって。
ですから、何十年にも渡って、キスひとつもせんと、愛し合っていられる二人っつのも、うそやんって思えなくもない。
二人の声の再会の瞬間はグッとこなくもない。
でも、そんくらいだよね。

だからあのー、いや、びつくりしたよ。インドって、実際こんなだったんだ、っつってね。
ダージリン急行」のあのかわいらしさ煌びやかさなんて、映像にはなかったもの。

もちろん盲目の男の子が「君は成功したんだね」っつーのは泣けたよね。
でもあの瞬間って、タイタニックで言うところの、あの演奏し続けた楽団員のシーン。
誰でも泣けるっちゅうか、ともかく呼吸してる人間なら普通泣くっちゅうか。

何がといえば。
きっと、あれだ、ライフラインが、おちなんだしょ?
でもね、あたしはもう、おにいちゃんが、携帯を渡した時点で、あ、テレフォンが残ってるよね、ってわかっちゃったわけ。わかってんのに、携帯をアップにしたりするから、そのたんび、さめざめだったの。妹は、ライフラインなんてあまりしんないもんだから、もう、まんまと、そっかーそっかーとハマったらしい。

あー、知らなきゃよかった、ライフラインの種類なんて。日本のミリオネアなんて見たりするんじゃなかった、あんなのさえ見なければ、あーそうだ、みのさえいなけりゃ。

そいうわけで、みのもんたへの憎悪が増しただけの映画でした。