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everywhere I'll go

「レボリューショナリー・ロード」を観た

だからさ、「~燃え尽きるまで~」ってオマケ、そんなに必要だったか?Vシネかっつの。

予告を見た時点ではそれほど期待はしていなかった。
サム・メンデス監督、ってところに微かな期待はあれど、それより、この二人。
それだけで、観ようと決めていた。

だのに、賞レースやら、いつもは辛口の評論家たちが褒めてたりと、やけに評判がいい。
そうか好いのか、と、ちょっとハードルを上げて観始めた。
そして止めは「字幕 戸田奈津子」のスーパー。
ハードルは思いのほか上がってしまったようで、それがいけなかった。
自分が感じたファーストインプレッションというのは、大事かもしれない。

特別だと思い込んでいた男と女がありきたりな恋に落ちる。
女は男のありきたりな夢にほだされ、男は女の美しさにほだされる。
ありきたりに結婚をして、ありきたりに1男1女をもうけ、ありきたりな片田舎に住む。
レボリューショナリーロードと呼ばれる街に、二人は特別な夫婦として招かれる。
しかし待っていたのは、やっぱりありきたりで退屈な普通の日々。
単調な繰り返しだけの仕事に追われる夫。
女優として目がでなかった夢破れた妻。
鬱積してゆく不満。普通になりさがってゆくことへの耐え難い苦痛。
抵抗するように妻はかつて夫が話してくれた夢をひっぱりだし、すがるように提案する。
パリへ住もう、と。“本当に自分が生きる場所”を見つけよう、と。
やっと見つけた輝きと理想に満ちた未来図。
勇んで夫もそれに乗っかった。
乗っかった途端、夫の目の前に現実味溢れるおいしい話が舞い込んでくる。
妻の話す夢のような生活が、ただの絵空事にしか聞こえなくなった夫は、
現実から逃げることから、逃げる。
そして妻にも、逃れようの無い現実が圧し掛かる。
普通の日々は、二人に絡まり纏わりつき、やがて、深く重い現実の結末へと突き落とす。

「虚しさを感じることは簡単だが、絶望を感じることは勇気がいる」

登場人物すべて病んでいた。
淀んだ空気や不協和音が流れ続ける映画だった。

女は夢を追いかけ懸命に生きた妻?
男は面白みのない退屈な夫?
女は狂った愚かな妻?
男は正常で冷静な夫?

私の率直な感想。
結局、夫婦なんて、家族なんて、やるもんじゃねーってこと。
ただの足かせにしかならねーってこと。
いやそんなことを作者は言いたかったんじゃないんだろうが、そうとしか読めなかった。

夫婦のすれ違いだとか、互いを愛するあまりにとか、今だ一向に理解不能なのであり、
ゆえに、ひとつも感情移入できず、観終わった後は右に左に首を傾げまくる。
「つか、離婚したらいいんじゃね?そーだそーだ、リコーンだ、リコーン!」という結論。
またもや、観るべきじゃない人間が観てしまってどーもすいやせん。

ラストシーンはなかなか印象深く、デヴィットリンチ的?って言い過ぎか。

好かったのは、レオとケイトの演技。凄まじい。
ともかく歳をとっていた、当たり前だが。なり過ぎだろってくらい大人になっていた。
けれど好い役者になっていた。
ドンづまってまるで正気の沙汰じゃない妻。
妻にうろたえ思考が混乱を超えて錯乱する夫。
そんな2人が愛し合う画は鳥肌が立つほど美しく、
罵り合う画は身の毛もよだつほど恐ろしい。
競い合うような怪演、好演、熱演。
レオは最近、マッチョメンな役が多かったので、新鮮だった。
本来こういう鬱ってる役がぴったりなのだから、今後もこういう役をやって欲しい。

レオとケイトのファンは必見、と、いちお言っておきます。