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everywhere I'll go

十二月の夕暮れ

 アルバムにだって貼り付けてあるんだもの

14時くらいに、なんとなくダイエーに行ってしまったら、惣菜コーナーで男の子が「栗ごはんだぁ、ずんだもちだぁ、おいしそぉ、でも、ここにあるやつみーーーーんな、ウンコになっちゃうんだよ」って言ってて、なんだか気分がよくなったので、いかゲソとポッキーと母のためのヨーグルトを買ってしまった。私が幼い頃、スーパーの階段を上がるだけ上がって、上まで辿り着くと怖くて降りれず「たあーすけてーっガッチャマーン!」と大声で叫んでいてとても恥ずかしかったという母の話を思い出した。

 人目も気にせず泣いて怒って その親子は愛し合っているんだ

16時くらいに、洗濯物を取り込もうとしてたら、7階にも関わらず、下の道路から怒鳴り声が聞こえて、目を凝らしてみると、息子がふざけて自転車の上に立ち乗りしてるのを、父親が「危ないから降りなさい!」と叱っているようだった。息子はちっともいうことをきかず、とうとう父親がピシャリとしたようで、今度は息子の泣き声が響いてきた。空が綺麗過ぎて写メなんか撮る気になれなかった。

 孤独とゆう暗い海に ひとつの灯台を築こう

16時半くらいに、「愛おしき隣人」を観て、お話はそれほどでもなかったが、映像がなんとも美しく、美術館で絵画を何枚も鑑賞しているような感覚になった。台詞と歌がとても絶望的なのに、かわいらしい映画だった。誰にも愛されてないと嘆く太った女と、皮肉屋の精神科医と、ロックスターに片思いして現実に苦悩する女の子が出てきて、金曜日に会社で泣きそうになった自分を思い出した。同僚に「仕事教えてもらってる人、あの人いじわるでしょ?でもまぁあなたなら大丈夫かなあってみんなで話してたの」とトイレで言われた。それから席に戻って仕事を始めて、そういえば、これまで何回言われただろう“大丈夫そう”と。私は一つも一回も大丈夫じゃない。そう思ったら目と鼻が赤くなってきたのだった。

ずっと桜井さんの歌が聴こえる。