fake_BOOTLEG

everywhere I'll go

「ディア・フレンド」を見た

緒形拳が、にくたらしく、かわいらしく、飄々とした老人を、もの悲しく好演していた。

「若いうちはいくらでもやり直せる」
「若いっていうのは若いってだけでいい」

老人たちが若者たちを眩しい目で見つめて何度もそう言うシーンがあった。
若い、とは、何歳までなんだろう。

会いたかった孫に大金を差し出し、これくらいしか出来ないという老人。
その孫にもう二度と会いに来ないでと言われる老人。

眩しい若者はそんな老人を背負い、浜辺に寝ころぶ。
海の波でびしょぬれになった老人は、無邪気に笑った。

ラストシーン、薄暗い部屋でひとり背中を丸めてミシンをかける老人。
その部屋に差し込む光を見上げ、眩しい目をして、また、ミシンに戻る。

小さなドラマ。
大きな事件も大きな涙も大きな笑いも
ドキドキもハラハラも謎も何もないドラマ。
だからこそ身に染みた。

私はまだやり直せる年齢なのだろうか。
そうしなければいけないのだろうか。