そこにいたのは君だった
笑ってる 君
死んでくれないかいっそと洗濯機をまわしながら思う。
父親だ。
ついでに母親も。
死んでくれたら、どうにもならない後悔だけに苛まれたらすむことだ。
生きているから、言いようのない嫌悪と、その嫌悪への罪悪に気を病んでしまう。
二人が生きている限り、どうにかしなくてはと、自分を立て直そうとし続け、自責し続ける。
近所のそこいら中に咲いている、キンモクセイの匂いがこぼれて、今頃が一番強い。
小さな花が散り落ちて、所々道がオレンジ色に染まっている。
桜井さんの唄う「花の匂い」はどんなだろう。
散ることもなく、甘く優しく穏やかに漂い続け、癒し続けてくれるだろう。