fake_BOOTLEG

everywhere I'll go

承知尽く

眠り過ぎなのでいらん夢をたくさん見る。

たとえば佐藤浩市とデートする夢とか。
いやこれは、いらん、ではないか。

で、その眠りすぎ姫の今日見た夢は、母と二人で父を殴り殺すという夢だった。

まず母が何かで父の頭を殴りつける。父はフラフラになりながらも、母に逆襲。
私は後ろから父を羽交い締めにする。
母が一瞬躊躇する。私は目で合図する。母は一気に父の頭に凶器を振り落とす。

父の背中の体温、鼓動、飛び散る血。
全てがリアルに感触として未だに残っている。

目が覚めて、もちろん嫌な気持ちになったが、けれど現実でしていることも、あまりこれとは変わらない気がした。

父の顔を見ない。話さない。存在を無視している。いないものとしている。
私は毎日父を殺しているようなものだろう。

憎しみなどというたいそうなものはない。
ただ、嫌いなのだ。
面倒くさい、おもしろくない、気持ち悪い。
そういうことだ。

長女として、父の期待に添えなかったことへの逆ギレということだろうか。

結婚もせず、孫という存在を与えられず、経済面の援助も出来ず。
そういう娘でいることへの後ろめたさからくるものなのだろうか。

古い時代の男というのは往々にしてああいう父親になるんだと思う。
娘と会話もせず、ただ命令とも期待ともつかぬことだけを指示し、お金だけ入れればいい、あとは自分の好きにさせてもらう、という父親。よく聞く話だ。

しかし、老いて、経済力もなくなり、年金もなく、家も、貯金もなにも結局残せなかった男は、ふと振り返り後悔しているのだろう。もっと家族との関係を深くしておくべきだったと。
2度の癌で、彼の老い先はきっと短い。
だから今になって、慌ててそれを取り戻そうとしているのは、よくわかる。
私はそれにつきあってやりさえすればいい。
そうしたら彼の残りの人生は少し穏やかになるだろう。
わかっている。全部、わかっている。

けれどどうしてもそれができない。そういう彼を許せないでいる。
なぜだろう。

性格が悪いだけか。

最期に後悔するのは私自身なのも、わかっている。