胃が痛い。
帰り道にうまいもんでも買って帰りたかったのに、胃が痛くて、水も飲めぬ。
ガムを噛むしかない。
「あーお金さえあればこんな会社、明日にでも辞めるのに」
とため息つきながら化粧直しながら、トイレで女子が2人話していた。
お金、欲しい。
もう、一生で使い切れないくらいの、国家予算並みの額が欲しい。
胃は痛いし、暑いし、何も食えないし、明日休みたいしで、ともかく歩くのもやっとで、
前を歩く、杖をついたおじーさんよりカメの歩み。
危うく止まりそうだったので、楽しいことを妄想して、なんとか足を前に進めることにした。
悪魔が突然やってきて、
どんなにお金を引き出しても残高減らないよというキャッシュカードをくれる。
という妄想。
3つ目の信号待ちであほらしくなってやめたけど。
結局私は、なんにもできないから、こうやって生きるしかない。
誰かを深く感動させて、お金をもらうことも、
誰かを深く傷つけて、お金を騙し取ることも、
どちらの才能もない。
ただ胃が痛い。