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everywhere I'll go

スカートをはいたサナ

コンドウサナエちゃんは絵がとても上手な子だった。
絵といっても、アニメというか少女漫画に近いものだったけど。
でもともかくうまくてかわいいから、みんなが似顔絵を描いてもらっていた。
あたしももちろん自由帳に描いてもらった。

サナはスカートが嫌いな子だった。
いつもGパンを履いていた。
けれどそれほどボーイッシュというわけではなく、髪は長めのおかっぱだったし、
手芸も得意だったし、ワーキャー騒いだりしてたし、華奢で背も小さかった。
かけっこは早くてリレーの選手にいつも選ばれていた。

彼女は中学生になるとセーラー服を着させられた。
せめてもの反抗か、いつもスカートは長めで、いつも先生に注意されていた。
取り立てて仲が良かったわけではなかったから、卒業したらそれっきりになった。

サナと私は誕生日が一緒だった。
今日を、彼女はどうやって過ごしたんだろう。

子供にママおめでとうと似顔絵を描いてもらったりしたんだろうか。
旦那に今日くらいはスカートをはけよと呆れられたりしたんだろうか。

私は
雨の朝ボンヤリとミスチルを聴いて歩いて
満員電車をボンヤリとミスチルを聴いて我慢して
昼に焼き魚定食を食べながら、エステと足つぼと部長の悪口を延々と話し続ける女たちの話をボンヤリと相槌打ってスルーして
夕方はボンヤリとミスチルを聴いて帰って
近所のケーキ屋さんでミルフィーユとクレームブリュレとえだ豆のモンブランを買った。
でも2つまで食べて気持ち悪くなったので、1コおかあにあげた。
そんで大音量でミスチルをボンヤリ聴いてる。

ケーキのくだり以外は昨日と明日と変わらない今日という一日。