fake_BOOTLEG

everywhere I'll go

break on through to the other side

誰かがボウイを唄いだすと、ボウイリレーは止まらない、という世代。
もう、そこからボウイに継ぐボウイ歌合戦で、本人が降臨してくるんじゃねーかと思うほど。
しかしまぁカラオケってあいかわらず高値だな。

土曜の夜は、そんなこんなで、トウがたちまくり姉妹は燃え尽きた。
日曜の朝は、妹の住む西新宿のはずれの静かなスタバで、なぜかどんより。
なぜなら、彼女が父からの電話につかまり行くはめに。
見舞いを催促する病人。
とうぜん姉も行くはめに。
めんどくせー行きたくねー戦争起きないかなー、どよどよどよどよ。

ジャズが流れていたはずの店内は、いつの間にかドアーズがひっきりなしに流れていた。

The_doors

外は曇り。全てが憂鬱の後押しをする日曜の午後。

いざシミッたれた都立病院。
おやじは手術に控え輸血をたっぷりして、血色もよく、よっぽどあんたの方が元気だ。
彼は妹にあるところのあるケーキを注文していた。
見舞い品を指定する病人。
それだけではない。
いちごとクロワッサンとヘッドフォンとどこどこの鯖寿司。
ヘッドフォンに至っては持っている。にも関わらず「耳から落ちやすいから」と。
それは、今に始まったことじゃねーんじゃねーかと。便乗パシリだ。
ともかくそれらはすべて東京の至るところに散らばり、それをかき集め、姉妹へとへと。
けれどケーキだけは買えず別のところのを持って行った。

「あそこのケーキじゃないならいらなかった」

彼はしこたま鯖寿司といちごを頬張った最後にそう言い放った。
あたしらはただただ黙って病院のでっかいプラズマテレビでちびまるこを眺めていた。
ここで、なぜドアーズじゃないんだ。
なぜ、ポンポコリン。

帰りのバスで妹が言う。
「死んでくれないかな」

あーこりゃ地獄行きだぁと彼女は笑っていた。
けれど妹よ。だとしたら、そのチケットは2枚だ。