fake_BOOTLEG

everywhere I'll go

上昇下降

いるはずのない、いなくていい、またあの頭おかしいカチョーがいやがった。
おめー今日出社ちゃうやんけ。なんできりんタンの席使ってんのよ。
やめてよ。ケガれる。どけ。声、出すな。うるさい。あーうぜ。
ヤツが咳込む。こんとき心底このまま窒息死してしまえと思った。
私の地獄行きは決定。あーそう。それでも、願ったね。祈ったね。
しねしねしねーと。
この歳に至った今、なぜこんな想いを抱かねばならんのだ。
こんな生き物に出会わなきゃいかんのだ。

キリンたーん、たすけておくれ、今頃、おうちで引きこもラーかい?

帰り道寄ったデパ地下の店員さんたちがみんな優しかった。
こんなちっちぇーことで、少し気が晴れて、地下道を歩いてたら、
キリンたんが好きだと思った。
ふと突然、思いもよらず、大好きだーと想いがぶわぁっと膨らんだ。
会いたいと。早く月曜日にならないかなと。
好きだーっていっぱいココロん中で叫んだら、ニヤけてしまって、
もっと叫んでたら、泣けてきた。
まずい、大概にしないと通報される、と電車で読みかけの小説を読んだ。
家までの帰り道、寒いぞ早く帰るべ、と早歩きするんだけど
きりんタンとの会話を思い出してたら、どんどこいろんな人に追い抜かされた。
やばい、とまた早歩きするんだけど、気を抜くときりんタンに想いが飛んで、
再びダラダラ歩きになってしまっていた。
後ろを歩いてた人が「加速減速を繰り返す変な女がいる」とメールしてたかも。

変になっちゃうね。おかしな感じになってしまう。
この歳になった今、こんな想いになれる人に出会えるなんて夢のようだね。
夢じゃないよ。