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everywhere I'll go

買いたい笑顔

泣いたわな。泣くわな。
元来、弱い。
心底どうしようもなくなった人間が、
他人に優しくされて、幸福に触れるなんて類のお話は。

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ぎこちない笑顔を見たその瞬間、ただただ美しいと思ったわけです。
同時に、この役が、どうりで松嶋菜々子じゃなきゃならなかったわけだ、と思った瞬間でもあったのであります。

すべてを綺麗にパタパタとたたんで終うように収めて、それでも「予定調和」ではなく、「おとぎばなし」を観終えたような余韻だったのは、遊川脚本のお力。

しかしながら、
今でも強烈に記憶に残り、猛烈にまた観たいと衝動が沸き起こる
恋がしたい恋がしたい恋がしたい
幸福の王子
この2つに比べたら、40パーは言いすぎじゃないかとも思うわけです。

もっっっすごい面白いドラマって、最近ないよねぇ。
ぱっと浮かぶのは、最近のドラマで言えば「銭ゲバ」が最後かな。

ふと、ミタさんのお顔をじっと見ていたら、思い出した、その昔、会社のデスクに菜々子ちゃんのNTT卓上カレンダーを置いてたら、通りがかりのおっさんが、「癒されるねぇ」と菜々子ちゃんをしみじみ眺め、そして私の顔を繁々と見て「○○さんって、癒し系ってより、威圧系だよね(笑)」と、シロートのおっさんとしては、ダジャレを含めつつうまいこといったぜと、ご満悦気味で立ち去っていかれましたことを。
昨今なら間違いなくセクハラで訴えられたであろう発言を言い放たれた、あの時の、三十路寸前だった私も、こんな風にぎこちなく儚げに泣き笑いたかったのではなかろうかと思うのです。

思えば、幼少期から青年期は、さして笑わず、泣かず、むしろ我慢さえしていた、愛想のない女でありました。
一重にそれは、すべてにおいて、わが身の醜さを卑下した結果でありました。
醜い女は、極力感情を顔に出さず、目立たず、石のようになってしまうことが、最善の策だと、幼い頃から思っておりました。
しかし今、中年只中におかれ、気づくと、類に漏れず、いわゆる「図々しい」「逆ギレ」という転換を覚え、美しくなくても泣いたって笑ったっていいじゃねーか、生理現象だばかやろうと宗旨替え。
喜怒哀楽のだだモレ状態であります。

もはや底値となった、涙と笑顔を振りまいて、あらゆるすべてを承知していきます。