fake_BOOTLEG

everywhere I'll go

昭和84年

胃が痛いなあ。夜めし食ってないっつのになんでよ。
胃薬飲んだのになんでよ。
背中もいてーし、6月にくじいた足首もいてーし。
いくら寝ても寝ても常に充血してるし。

もう終わりだね。おだかずだね。ふりぃーってのね。

昨日の夕方途中だった仕事に「明日はここから」の付箋しといてもさ、しといたことをまずずっぽし忘れてる。と、申しますか、その付箋の赤い字を何度眺めても自分で本当に書いたかも思い出せないのであります隊長。その字はあなたのよって言われても、そうか?と反論できない。なぜなら自分の字はどんなだったかも思い出せない。

蛍光ペンと定規を戻すついでに、ホチキスを取りに行ったはずが、帰りは蛍光ペンと定規とホチキスのオールスターが手の中にしっかとある。

1、2、3のうち、2を間違えたとする。よし次からは気をつけようと2を慎重にやり終えたところで1の間違えに気づく。よしよし次は1を間違えないように気をつけると、最後の3を結局間違えてしまう。

もうダメでしょ、いろんなことが。
そんなことは承知のスケ。
だのに改めてこんなに自分が不憫なのは、比較対照物と自分があまりにかけ離れていて、同じ地球に生まれ育っているのが信じられないからでしょう。

それは、一緒の時期に入った25歳の女の子で、まーおきれいでハキハキとおしゃべりになって、人懐っこく、そうさな、好かった頃の沢尻エリカみたいな顔でそれがまたえらく小さいお顔で、なのに170センチ、胃下垂で何食べても太らないんですよーハハハーとロールケーキとキットカットを食っていた。
それにしても、このしゃべりは、昨今の20代は皆さんこうなんでしょうか。
どっから出してるかわからない声で、自分の喋ったその後すぐに自分で笑っちゃう、という話法。
おばさんをひどく不安定にさせます。落ち着かんです。でもきっとカワイイのでしょう。でしょう?

すき屋で働いてて、オフィスって初めてなんですよーハハハーと、言ってのけるのに彼女は、まーお仕事が速い、ミスもない(ように見える)。何より、あさっての方向から発声させるあの「ハイっ」はすばらしい。ホントにわかっているのかい?と言いわせようとしている罠のよう。これもきっとカワイイのでしょう。ですよね。

バツイチで子供2人もいるし、実家は自営で安泰で、母子手当とかで、保育園は月600円しかかからないとか、バスは乗り放題とか、ディズニーランドも割引とか、なんかそんな話を、やっぱりここでも独特の発声法と乾いた笑いをもれなく交えて、高らかに、ほがらかにしてました。そりゃ、みんなリコーンするよ。むしろしたほうが断然お得。今27歳の新しい男と「遊んでる」んだそうだ。否彼氏。「遊んでる」んです。

あたしの25歳はどうだったか。
この世の終わりと思っていたのは毎年毎度だから間違いはないだろうけど、それ以外、思い出せない。
ただ、こんなに、いろんなことを忘れてしまうほど、脳みそは老いていなかったはずだから、バツも男も子も美も金も、何一つ持ち合わせてなくとも、25歳というだけで、その頃の自分がうらめしい。

見た目だけではなく、いよいよ、体内も脳内もキビシクなってき始めた。
せめて昭和枯れすすきみたいな歌がまた流行れば救われる気がするの。