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everywhere I'll go

金の匂いに導かれて

羊をめぐる冒険」を読み返し始めたら、あまりに美しい鬱が満載で、最近知らぬ間に鬱積していたいろんなもんが、ぶり返してしまった。

例えば、これまで使ってた化粧品の2本目をなけなしの金でやっと買って使い始めたら、肌荒れ大発生。98%残っているビンを眺めて途方に暮れてることとか。
ある人から誘いのメールが来たが、別に会ってもいいが、お金もないし、この髪じゃあ美容院いかなきゃいし、お金もないし、結局メールを放置していることとか。

と、「銭ゲバ」に想いを馳せては、鬱の風が漂う。

村上春樹が「1Q84」3部の執筆中らしい。
元からそういうことだったのか(ハナから上下ではなかった思えば)、異常なまでのこの本の売り上げっぷりに乗っかったのか、乗せられたのか。
そういやあ、浦沢直樹も「20世紀少年」の続編だかなんだかを書いているとか。
春樹も浦沢も、好きだけれど、何もよりにもよってその作品で「続」って、と理解できない。
共通するところはただひとつ。どちらも確実なお金のいい香りがする。

ミスチルのドーム先行が始まった。
斜め読みで「スタンディング」ってのがあったのは知っていたが、当初これを「スタンド席」と勘違いしていた。
そりゃ、するでしょ奥さん。ドームで「スタンディング」って誰が想像できましょう。
「ドームでライブハウス感を出したい」ということか。よくわからん。
多くの負傷者とか出ればいいのに。バカか。

そんで、なんだか、ファンクラブ先行は脱落者がいるらしい。
ドームで脱落って、どんだけ目の詰まった振るいにかけたんだ。

ほいで、私がやらんとしていた先行の対象はその「スタンディング」エリアのみ。
あぁ?
多かだか何千何百の枠を「どうだお前たち先行やったったぞ」っておっしゃってるの?
ドームってキャパ何万よ。どんだけ出し惜しみすんの。

どこへ流れてゆくのかチケットよ。
そうかもっとおいしいお金の香りがする場所があるんだね。

ということで、このケチケチ先行が終わると、JTBオフィシャルツアー先行開始。
足代、ホテル代にチケットがくっついてくるってんだが、このチケットは「指定席」。
「より多くの金をお支払いいただける方には、指定席をご用意しております、かしこ」
ってことだね、そりゃそうだね。

かと思えば、フジテレビで「ミスチルのライブって魅力的なの、みんな来てね」の特番。
コバタケ桜井ご両人総動員でもってご出演、番組終了後には先行受付告知もあるという。
「来たことない人に来て欲しいんだよね、固定客、飽きたんだよね」ってことなのか。

それならまだましだが、フジテレビが絡んでんなら、ごっそり関係者席が埋まるんだろう。
昔、「フジテレビの知り合いの人にいつもとってもらってるのよーミスチルは」って会社のおばちゃんがいた。
彼女がたまたま行けなくなったから、と私にチケットがまわってきた。
国立競技場だったか、会場行ったら席が前から10列目で、嬉しいより、脱力。
いつも、こんな席を何の苦もなく、あのおばちゃん。
しかも、CDひとつ持ってないって言ってた、あのおばちゃん。
脱力。

最近のミスチルチケット争奪祭りは、お金の香りで充満しております。
トイレの芳香剤にあればいいのに「お金の香り(ミスチル風)」。
ツルハで売ってたら絶対買うのに。

なんか、かわいそうだね、Mr.Children
と思うことにした。
汗流して、声枯らして、すばらしい音楽を奏でる、その目前にいるのは、業界関係者か物見遊山の人たち。
心中お察しいたします。

ドーム、行くの、やーめぴ。
終末のコンフィデンスソングスツアーは、長野の2日間で十分大満足。
あれで終わり。
ここでまた、なんにやかやとやって、あの思い出が上塗りされても不愉快だ。
良い思い出なんてのは、この先減る一方。貴重なの。

困っているんだと思う。音楽業界も出版業界も。
その中で、いわゆる猿回しのおサルでしかない、ミュージシャンや作家たちは、一層困っているんだと思う。
だから、どうか、頑張ってください。
だって結局、おサルさんたちの芸が大好きだし、今となってはそれしかないんです私には。

ただ、あなたちのそれとは比にならないほど、私、困っているので。
だから、せいぜい、頑張ってくださいね、としか言えませんけど。