昨日、テレビに出てる速水もこみちを見て、母親が「でも、あの人よりいいわよ、あの、Ｆ１に出てる女の子とつきあってる子」と言った。
でも、をつけた意味がよくわからないが、ともかく、なんであんなどこにでも転がってそうなうすっぺらい頭悪っそうなのが、小栗旬より好いのか、もう、ともかくその思考回路が、そしてその血があたしにも流れてるのかと思うと、そら恐ろしく、腹立たしく、異様に声を荒げて反論した。
「だって、顔がこう・・・」
より苛立たせる。
「顔？顔で良し悪し決めてんの？ほんっと男見る目ないねっ。そらあんな男と結婚するわ！」
思いのほか、母は悲しそうな顔を一瞬した。
よくわからない。
幼い頃、幼稚園にも保育園にも行かせない代わりに、「こんな罵声を浴びせられた」「こんな仕打ちを受けた」「だからこんなに今不幸だ」と父親への悪態を毎日聞かせといて、子守唄も昔話もひとつもされた覚えはないけれど、そういう話を散々聞かせといて、この期に及んで今更なんだよその顔は。
今朝、母が自殺する夢を見た。
いや、実際死体があったわけではなく、母の部屋の天井から輪になったロープが吊るされていて、下に椅子が置いてあって、傍らにはスリッパがあっただけ。その後、鏡台の引き出しから遺書が出てくるのだ。そこには謝るような文章があった。私は慌てて110番すると受話器から何故か母親の声がするのだ。彼女は多分謝っていた。私は泣いていた。
そこで目が覚めて、喉がカラカラだったので、水を飲みに起きた。
母親の部屋の前には夢に出てきたのと同じようにスリッパがあった。
よくわからない。
誰の考えてることも、あたしが考えていることも。
