そうさ 美しい死なんてあるもんか
死ぬってことは この体を傷つけるってことなんだ
壊すってことなんだ
そうさ 俺はこの体を壊しに行くんだ
人は人を恨み怒り裁いて罰を与えようとする
怒りに身を委ね行動することは実はそれほど困難なことではない
人間にとって最も困難なことそれは他者をそして自分を許すことなのだ
その先にこそ調和があると知りながらも人は許すことがなかなか出来ない
誰もが自分の内側に黒いものを抱えている
誰かを傷つけることもある
罪を犯すことも
悲しみに打ちひしがれることもあるだろう
だがその同じ人間が純粋に愛を求めることがある
本当の愛を手に入れたいのならば
許すことを知りなさい
他者を
そして自らを
そうさ
俺は俺の体を壊すんだ
「弱い人間は消えていけばいいんだ」
弱くたっていいじゃねぇか。
弱くたって構わねぇからさ、生きてて欲しかったんだよ。
喜多さんは死なないでくれよ。
なぁ、生きててくれよ。
終わるはずだった俺の明日がまた始まった
数えるには多過ぎるほどの明日が
悲しい明日もあるかもしれない
だけど
笑える明日もきっとあるような
そんな気がするんだ
ラストシーン。
リュックを背負った善男の歩く先にいるのは、照れくさそうに手を振る平太。
足を速めて歩みよる善男の満面の笑顔が忘れられない。
ただひとつ、ただひとり、あればいい。
明日を迎える理由が。
あしたの自分を待っていてくれる人が。